TATAMIZE interview
「服を縫う視点から生まれるTATAMIZEの帽子」
MALKにTATAMIZEの帽子が入荷いたしました。
TATAMIZEは仙台にて2004年に、デザイナー自身がデザイン、パターン、裁断、縫製、仕上げ、納品と、全て一人で手がけるブランドとしてスタート。
2010年より工場生産をスタートさせ、年2回の展示会をベースとして国内外の店舗の取り扱いを展開していましたが、現在はスタート時と同じ生産体制でワークウエアをデザインベースとしたメンズウエアをデザイン・制作しています。
デザイナーの感性によるディティールのユニークさと素材と技術、多方向から立ち上がる無骨でありながらもどこか大人な愛嬌を感じるデザインと様々なアイテム。
今回のインタビューでは帽子も幅広くデザイン・制作し始めた経緯と、今回MALKに入荷したマウンテンハットとラップベレー帽についてデザイナーの八重畑さんに話を伺ってみました。
スタッフT:
TATAMIZEの帽子を作り始めた経緯を少し伺いたいのですが、まずTATAMIZEの帽子といえば、ワークキャップというイメージです。ちょっと変わったデザインの帽子ですがどうやって生まれたんですが?
八重畑さん:
帽子を作り始めたのは2011年の展示会に合わせて作ったのがきっかけなんですが、洋服だけじゃなく帽子もあった方が見応えあるかなと思って。そんなに反応ないだろうなと思ったんですが、帽子を作ってみたいというのがまずあってワークキャップを作ったんです。でも最初は笑いのネタになってたんです。
スタッフT:
笑いのネタ?どういうことですか?!
八重畑さん:
見たことある形の帽子というより、あの形があんまりないというか。かぶってもらっても合ってるかどうか分からないから、バイヤーさんもちょっと照れ笑いするというか。
※TATAMIZEさんデザインのワークキャップは帽子のつばが別途縫い付けてあるわけではなく、本体と一体化しているちょっと変わったデザインです。
スッタフT:
確かにスタンダードなデザインではないかもしれないですね。
八重畑さん:
でもあのデザインは帽子専門で作ってる人じゃなく、洋服を縫ってたからやりたいと思った作り方で、服を縫う目線でできた帽子なんですよね。それでバイヤーさんも最初はちょっと分からなかった感じがあったかもしれないですね。でも実際に納品したら、帽子好きな人が手に取ってくれて、それから色々な帽子を作るようになったかなと思います。
スタッフT:
私も帽子好きですが、帽子そのものが可愛くてかぶってみたくなっちゃいます。
でも服を作る目線で帽子を作るって興味深いです。
八重畑さん:
そうですね、帽子の専門的な知識がないので、自然とそうなってしまいますよね。今は帽子は自分で縫っているんですが、工場とかに頼むとどうしても細かい指示というか仕様をお願いしていくとお金がかかってしまうこともあるんですが、自分で縫う場合はその部分をあまり考えず縫えるので、自分で縫うようになってからどんどん帽子のデザインのイメージが広がっていきました。
スタッフT:
確かに手を動かしてこそ見えてくるデザインってありますよね。
~その物の”感じ”が残るような物作り~
スタッフT:
MALKに入荷したマウンテンハットのことを伺いたいのですが、これはどういった経緯でできたんでしょうか?
八重畑さん:
マウンテンハットは2013年の春夏用で初めて出しました。ぱっと見は普通の帽子に見えるけど、かぶるとちょっとだけ変わってるっていう帽子が作りたくて。キャップってかぶらない人もいますが、マウンテンハットは幅広い人に興味持ってもらえるかなと思ったのもあります。
スタッフT:
かぶるとほんのちょっとだけ帽子のてっぺんが細くなってるんですよね。
このフォルムのニュアンスがなんとも愛嬌があるというか可愛らしいというか。
本当にほんのちょっとだけっていう。
八重畑さん:
あと、やりたかったことがあって、4枚のパーツが縫い合わさってますが、縫い目のところにステッチが1本入っているんです。この縫い方だとパイピングをしないので裏地がついてますが。あと、帽子のテッペンの4枚合わさってる十字の部分が入れ違いになって縫ってあるんですが、それもやりたかったことでもあるんです。
スタッフT:
パイピングがないととその部分が生地の表に響かないということですかね。内側の頭に触れるフィット感も少し違うのかも。
確かに帽子のてっぺん、生地の重なり方が風車っぽくなっています。
八重畑さん:
縫いしろって重なって生地が厚くなると縫いにくいし、糸が飛んだりするんですが、単純に縫う順番を変えることで自動的にそうのように(入れ違いの十字のように)なるんです。それってデザインというより作り手の工夫だったりして、ワークウエアによくある縫い方だったりするんですが。
スタッフT:
そうなんですね。これはお話を直接聞かなかったら知らなかった面白さです。
八重畑さん:
でもこういうことって、わざわざ言わなくてもいいんです。自慢する様なことでもなくて、そこをすごく見てほしいというわけでもないんですけどね。笑
スタッフT:
作り手の方って作り方にそれぞれこだわりがあるのに、その工程をどこまで細かく伝えたらいいか躊躇しちゃう時ありますよね。
八重畑さん:
でも本当に単純に、色と形がいいなとかそういうところの方が大事というか、そういう風に見てほしいですね。
スタッフT:
確かに直感で素直に「これいいな。」っていう気持ちで選ぶのが一番楽しいことだと思います。
でもお話を聞いていると縫い方とかそういった細かいところが全体の”物” としての雰囲気というか、佇まいを構成していくんだなと改めて感じました。
八重畑さん:
物ってそんなにじっくり見てないけど、その物の”感じ”というのってなんとなく残りますよね。なので縫い方とか細かいところに関しては気になってほしいような気になって欲しくないような。笑
スタッフT:
そんなところもあるからもし興味があれば見てくださいくらいの感じでしょうか。笑
でもお話を聞いてると、作る工程そのものをとても大切にされていてそこからデザインが決まっていくことが多いのかなと感じました。
八重畑さん:
この縫い方がしたいっていうところから、考えていくこともあるし、手を動かしているうちにこういう風にしていったら合うなって思うことはありますね。
~問題解決から生まれたデザイン、WRAP BERET~
スタッフT:
ラップベレー(WRAP BERET)についてもお話し伺いたいんですが、リボンが2つついてるのがデザイン的にもとてもアクセントになっていますよね。それが飾りなだけでなくマジックテープとリボンでサイズ調整できるというのがとても素敵です。
八重畑さん
確かあれを作った経緯が、サイズが大きいとか小さいとか言われることが多くて。帽子の後ろによくあるサイズ調整できる金具を使わないやり方で何かできないかなぁと思って、それで紐で結ぶということでサイズ調整できるんじゃないかなと思いました。
スタッフT:
初めて見た時、すごい発明だなって思いました。
八重畑さん:
リボンで結ぶならその部分が開けてた方がちょっとした微妙な形も変えられるし、リボンの位置をどこに持っていくかかぶる位置で印象も変えられたり、あと洗った後乾きやすいですよね。乾きを早くするために考えた仕様ではないんですが。結果的にそうなりました。笑
スタッフT:
確かに!乾きやすいですね。通気性もいいですしね。かぶってても蒸れにくいというか。
八重畑さん:
ラップベレー帽はかぶり方が色々できるんですが、ラップベレー帽に限らず帽子ってどうやってかぶったらいいんですかとか、どうかぶっていいか分からないって言われることありますけど、こういう風にかぶってほしいとか、こういうかぶり方が正しいとかはなくて、かぶった人がしっくりくるかぶり方が一番いいんだと思います。
スタッフT:
私も帽子って似合う似合わないってあんまりないんじゃないかなと思っていて。
ラップベレーも一見個性的に見えますが、リボンの紐が幅がちょうどいい塩梅で可愛くなりすぎないところがコーディネートに合わせやすいと思います。
八重畑さん:
帽子をかぶるってそんなに難しいことじゃなくて自分で見慣れてないだけだと思うんですよね。初めて見る帽子って見慣れないから。みんなによく言うのは3日間かぶったら絶対似合うよって。自分で顔が見慣れてきますよね。
スタッフT:
私も最近帽子を買ったんですが、帽子そのものがとても可愛くて買ってみていざかぶって出かけようと思って鏡を見たら、もしかしたらこの帽子しっくりこなかったかもって最初思ったんです。でも1日出かけて帰ってきて鏡見たらなんだか似合ってきてました。
八重畑さん:
そうですよね。さらに長いことかぶっていると、どんどんその人のものになっていくというか。TATAMIZEの帽子もそういう風に身につけている姿を見るととても嬉しくなります。
八重畑さんにじっくりお話を伺っているとデザインの細部に渡る気配りはきっと幅広い人にも馴染んでいく帽子なのではと思いました。
楽しく選んで、自由にかぶってもらえるのが一番その人に似合うかぶり方と話してくださった八重畑さん。
暑さや日差しの心配からも守り、コーディネートの印象もがらっと変えられる帽子というアイテム。TATAMIZEの帽子でいつもと違う気分で春夏を過ごすのはいかがでしょう?
こだわりの詰まったTATAMIZE帽子をぜひご覧ください。
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インタビュー・編集/スタッフT