MALK
HOME > MALKPAGE > grinのぐるり > grin 2023 Autumn&Winter “lepolku” FEATURE vol.2

grin 2023 Autumn&Winter “lepolku” FEATURE vol.2

FEATURE  vol.2

Artworks:Mayako Shinohara

 

シーズンテーマである“lepolku(散歩)”は、フィンランド語で「休息」や「道」を意味する言葉を組み合わせて生まれた造語。今回のルックでご注目いただきたいのが、アーティスト・篠原麻耶子さんによる繊細かつユニークなアートワーク。それぞれがどのようなイメージのもとに生まれ、どんなふうにして制作されたのか。4つの作品にまつわるお話をインタビュー形式でお届けします。

 

― 今回のアートワークについて、全体的なテーマを教えてください。

 

Mayako Shinohara(以下、Mayako):grin 2023 A/Wのテーマが “lepolku” ということで、「散歩」、「⽇々を新しい⾓度から楽しむヒント」、「シンプルな中に効かせた遊び心」などといったキーワードからイメージを膨らませています。見慣れた道でも、ひと呼吸おくように穏やかな気持ちで歩いてみたら、今まで気に留めなかったものが面白く見えてきたり、散歩の途中で拾ったかわいい葉っぱや⽊の実を並べて眺めていたら、なにかに⾒えてきたりするかも。といったようなことを頭におきながら制作しました。

 

― それぞれの作品について、教えてください。

 

   「wormhole brooch」

 

Mayako:こちらはブローチのようなイメージで作りました。月桂樹の葉を丸くくり抜いて、虫食いを表現しました。水彩で色付けした紙の葉っぱも紛れ込ませて、本物の中に作り物が混じった、少しの違和感みたいなものを表しています。

 

 

 

 

 

 

   「autumn lariat」

 

Mayako:“⽇々を新しい⾓度”という言葉から、なにか連動、あるいは比較させたものを作りたくて、①の葉っぱからくり抜いたものを糸で繋げてラリエットに見立てました。くり抜いた丸い葉がスパンコールみたいだったので、本物のスパンコールやビーズも混ぜています。また、季節が深くなっていく様子をイメージして緑系のシルク糸を何色か使い、だんだんと濃くなるように繋げました。

 

 

 

 

 

   「acorn cap」

 

Mayako:どんぐりの帽子はニット帽みたいだなぁ。というところからスタートしました。奥行きが出るように複数の糸を組み合わせてかぎ針で編み、色はテーマカラーを意識しています。編んだ帽子を被ったどんぐりと本物のどんぐりをランダムに並べて、こちらの作品も①同様に、ちょっとした違和感を楽しんでもらいたいという気持ちで制作しました。

 

 

 

 

 

   「rosehips corsage」

 

Mayako:コサージュみたいなイメージで作りました。赤い野バラの実を、部分的にビーズを編んだもので表現しています。枝の部分は細いワイヤーで形成し、糸を巻きつけています。右から左に向かってビーズの部分が増えるように作って、だんだん何かに見えてくるような様子を表しています。ルックの中でモデルさんに持っていただいているのもこちらの作品です。

 

 

 

 

 

― 制作過程で印象に残っていることやエピソードがあれば教えてください。

Mayako:今回の制作にあたり、自分自身も散歩をしてみたことです。いつもならすたすたと通り過ぎるところも、地面や木を眺めてみたり、連なる家の形や色を目で追ってみたり、意外とリズムがあって楽しいんだなという気づきがありました。その、ささやかに楽しい感じを作品にも落とし込んでみようと思えました。

 

― 作るうえで特に意識したこと、作品を通して伝えたかったことはありますか。

Mayako:丁寧な気持ちで作ることと、色味を意識するようにしていました。具体的な部分では、糸やビーズを数色組み合わせて使ったり、奥行きが出るように心がけたりしたところです。

 

「眺める=標本」のようなこともなんとなくイメージしていて、撮影の際に真上から撮っていただいたのは、そういった雰囲気を出したかったためでもありました。

 

それから、grinというブランドそのもののイメージや、今回のシーズンテーマのイメージを感じられるようなものになればと良いなという思いも込めています。凛とした雰囲気の中に、ちょっぴり効いた遊び心を感じていただけたらうれしいです。

※コラム内で掲載しているアートワーク作品は販売商品ではありません。

 

Profile

Mayako Shinohara

イラストレーター「mayako」として活動しながら、個展やイベント出店などを行う。MALKオンライントアではイラストコラムを連載中。Instagram:@mayako_shinohara

 

 

 

Artwork_Mayako Shinohara

Photography_Hirotaka Hashimoto

Edit&Text_Haruka Inoue