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力織機を見に行った話

 

前回 見つけた!の

 

 

 

 

 

 

 

vol.6 力織機を見に行った話

 

 

NSD(夏の涼しいデニム)の生地を見つけた喜びから、いてもたってもいれず、生地が生まれる瞬間を見に行きました!

 

見学させて頂いたのは井原にある生地の工場。
デニムの聖地の機屋(はたや)さんです。

 

旧式の力織機は日本にたくさんあるものではありません。

生産効率の悪さや職人による手入れや修理を必要とするため、年々減ってきている貴重な機械なのです。

今回は、整経工程と力織機による製織の工程を見せて頂くことが出来ました。

 


セルビッチデニムの生まれる瞬間、皆様にもぜひご紹介できたらと思います。

 

 

糸を生地にしていく過程の一番最初にあたる『整経』の作業。『経』とはタテ糸のことを意味します。
空間の中に糸を一本一本張り巡らせ、ゴミやヨレなどを取り除き、染色やサイジングと呼ばれる糊付けの工程の準備をしていきます。

たくさんのコーン(糸巻き)が並んだ光景は迫力があります。

 

 

 

 

並べられたたくさんのコーンの糸をビームと呼ばれる大きな糸巻に巻き直していきます。

ビーム、とっても重そうです、、、。

 

 

 

 

たくさんの糸が空間を走る姿、とても美しい、、、、

 

 

 

 

このたくさんの糸も1本1本手で繋いでいきます。

とても繊細な作業です。

 

 

 

 

この大きな機械でビームに巻いた糸のサイジング(糊付け工程)をしていきます。(この時は稼働していませんでした。動くところいつか見てみたいです!)

整経からサイジングの工程は、圧倒される機械や空間の迫力と、人の手による作業の丁寧さ繊細さを感じました。

料理で例えるなら、食材の下拵えといったところでしょうか?  その作業の良し悪しでその後の料理の深みが決定してしまうような、そんな印象を受けました。

 

 

 

 

 

 

続きまして、製織の工程です。

 

 

 

 

 

 

 

 

工場へ向かって歩いていると、遠くから  ガッシャン・コン・ガッシャン・コンというリズミカルな音が聞こえてきました

機械らしくもあり、どこか懐かしさも感じるこのリズム。なんだかワクワクします。

整経・サイジングを終えた経糸が巻かれたビームがこんなところにいました!

どうしてあんなに大きく重かったのか、理由がわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

整経・サイジング工程を終えたビームを力織機の裏側にセットし、経(タテ)糸を交互に吊り上げます。

 

その間をシャトルに乗せた緯(ヨコ)糸を往復させ織り上げていきます。セルビッチ(耳)は、生地端で糸が断たれずにシャトルが往復することで生まれるのです。

 

 

 

 

 

 

上の写真は、押さえ金具の上側に経糸が張られた状態、下側は緯糸が打ち込まれた状態です。

シャトルを通し、緯糸がギュッと打ち込まれると、一気に糸からデニム生地に生まれ変わります。

まさしくここが今回のNSDの生地、『6ozセルビッチデニム』が誕生する瞬間です。ここまでたくさんの工程を歩んできて、やっと生地になりました。

 

 

 

 

 

 

 

近代的なコンピューター制御のものづくりではなく、人が常に寄り添って 手をかけながら、機械と職人さんが一緒にものづくりをしているような印象です。

ライトに照らされた職人さんの手元がとてもかっこよく見えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

イギリス産業革命の発端となった旧式力織機。

今では旧式織機と呼ばれ、その数をどんどん減らしていますが、

今回実物を見学をさせて頂き、時代が流れていっても変わらない人の熱やものづくりの力を強く感じました。

それは、職人さんの熟練された手つきや、力織機が力強く刻むリズム、いろんな空間を駆ける糸、出来上がった生地の全てからオーラのように溢れ出ているように思います。

 

改めて生地も縫製もパターン(型紙)もデザインもたくさんの人の手と思いが乗って出来上がるのだと、良いものに仕上げる責任があるのだと、身が引き締まりました。

 

 

 

NSD(夏の涼しいデニム)仕上がりが楽しみです!

 

 

 

 

 

動画にもまとめてみました!

力織機の『リズム』ぜひ聞いてみてください。

 

 

 

 

 

文:企画スタッフ S

 

 

 

 

 

次回 「NSDに名前をつけた話