メイド・イン・ジャパン の技術です
ホールガーメントという言葉を聞いたことがありますか?
それは無縫製でニット製品をつくることができる技術(機械)のこと。
「無縫製」という言葉がなんだかピンとこないという方のために、
まずは簡単に服づくりの流れをご紹介。
一般的な衣類(例えば上半身用)は、
完成イメージに沿った<前身頃><後ろ身頃><両袖>のカタチを決定、
そのカタチにあわせて生地を裁断したり、糸で編んでパーツ作成した後、
それぞれを繋ぎ合わせる(縫製する)ことで完成します。
お裁縫に興味のある方はご存知かもしれませんが、
布や糸の性質に合わせ、各パーツや繋ぎ合わせ方に工夫をすることで、
多彩なシルエットの衣類をつくることができるのです。
では、「無縫製でニット製品をつくる」とはどういうことでしょうか。
それは文字通り「縫製しないでニットウエアができる」ということ。
つまり、「すでに着ることができる状態のニットウエアが機械から出てくる」技術なのです。
なんだか夢のような話ですよね。
(まるで、近年「実用的な家が建てられている」と話題の3Dプリンターのよう!)
KINOTTOがこの技術と初めて出会ったのは数十年前。
これまでの常識を覆す全く新しいものづくりの流れに驚愕し、
それが日本の(和歌山県の)会社で開発されたという事実にも大きな衝撃と感銘を受けました。
ただ、当時はさまざまな点で発展途上であったこともあり、
自分達の商品をつくるところまでは到達できず月日は流れました。
それからしばらく後、KINOTTOをスタートするにあたりホールガーメントと再会。
自分達の求める製品イメージが鮮明になればなるほど、
その技術は私たちの味方になるものだと実感、
ついにオリジナルのホールガーメントニットが誕生しました。
(モデル身長163cm)
じつは「無縫製」であることは、
私たちにとって「こうだったらいいな」を実現可能にすることでもありました。
まず一番は、その着心地と機能性。
伸縮性が魅力のニットにおいて、
従来の「パーツごとに編み立てたものを繋ぐ」という仕立て方は、
その「繋ぐ」部分でどうしても伸縮性に制限が出てしまうと感じていました。
日常着でありながら作業着でもあるニットを目指したとき、
簡潔なデザインであることはもちろんですが、
「肩周りなどの動かしやすさ」
「さまざまな動作を妨げないよう、なるべく身体に沿いつつも窮屈でない」
という作業性に関する要素は欠かせません。
また、気軽に洗濯できることも必須です。
その点、ホールガーメントであれば編み目の伸縮性を最大限生かすことが可能 。
コンパクトなサイズ感ながら可動性の高いニットをつくることができ、
各パーツを繋いだ部分が洗濯などでほつれる心配もありません。
日常的にケアしやすいコットンを使い、編み目も適度に調整しているため、
余計な心配なく気軽に洗濯していただけるのも良い点です。
(モデル身長158cm)
シンプルながらもちょっぴり上品なシルエットは、さまざまなシチュエーションで重宝。
(モデル身長171cm)
ワンサイズではありますが、さまざまな身長や体型の方におすすめできるニットになっています。
また、資源や燃料の面において地球環境に優しいことも好ましい点です。
パーツが全て続いた状態で編みあげられるため、使用する糸量がより適正なものとなり、
日本で生産可能となったことで、遠方からの輸送の必要がなくなりました。
これまでニット製品の国内生産が難しかった理由の一つは、
「リンキング」というパーツを繋ぐ工程でした。
それは、編み目をひと目ずつ目視で確認しながら繋げるという途方もない作業のため、
多くの人手やテクニックを要するとともに、細かいものでは視力も重要となります。
産地の高齢化や人手不足の状況は、海外の人手に頼るという流れとなっていましたが、
ホールガーメントならリンキングの手間は不要なのです。
もちろん海外生産ならではの素晴らしい要素も多く一概には言えませんが、
メイド・イン・ジャパンのものづくりが継続していくことは、KINOTTOの願いでもあります。
現在消えつつある日本各地の産地が途絶えず、
身近なものをつくる環境が後世に引き継がれることは、
一見無関係なようでありながら、これからの私たち自身、
そして次の世代の「日々の暮らしを守る」ことに繋がっているようにも思うのです。
和歌山県で生まれた素晴らしい技術が、開発を繰り返すことで発展し、
これまでの常識や地球環境にまで影響を及ぼす存在となっていることには驚くばかり。
このメイド・イン・ジャパンの技術、いまや世界中で活かされているのだそう。
今後もさらに発展していきそうな「ホールガーメント」から、ますます目が離せなくなりそうです。