イマジネーション料理部#34
EPISODE 34
「ねぇ、いまハマってるものある?」から始まるクラブ活動
ー とろ~んシャキシャキじゅわわわ~のミソスープ、お粗末さまでした ー
ジリリリリリーン ジリリリリリーン ジリリリリリーン
のどかな休日の昼下がり。
ちょっと日焼けしたUちゃんの大好きな、穏やかでのんびりとしたひととき。
どこからか、昔懐かしい黒電話の音が聞こえてきます。
ジリリリリリーン ジリリリリリーン ジリリリリリーン
なんだか嬉しそうな顔をして、ニヤニヤとメモを取りながらスマホを手に取るUちゃん。
ジリリリリリーン ジリリリリリーン ジリリリリ・・
U : はい。
電話の主は、この時間すっかりお馴染みのKちゃんだ。
K : あ、Uちゃん!? やっと電話がつながった! このところ全然連絡とれなかったからどうしちゃったのかと思ってたよ。 いま何してるの??
U : お、Kちゃん久しぶり~ いまいい感じの具材の組み合わせを思いついたから、忘れないようにメモしてたところ。
K : 具材の組み合わせ?? なんの具材?
U : もちろんお味噌汁だよ。
K : あ~! え~!? Uちゃんがお味噌汁に夢中になりすぎて放浪の旅に出ていったっていう噂は、やはり本当だったんだね。
U : そうだよ。 オー!ミソスープショップっていうお味噌汁屋さんを始めようと思ってるんだ~
K : あははは。 オーミソスープショップって、なにそれー。 そしたらいまハマってるお味噌汁っていうのがあったりするの?
Kちゃんは相変わらずUちゃんの最近ハマっている食べものに興味深々。
そしてもちろん、数ヶ月前に突如「お味噌汁を知る旅に出る」と言い残して颯爽と旅立ち、
たったいままで音信不通になっていたUちゃんは即座に応える。
U : もちろんあるよ。 松山あげと青ネギと生姜。
K : おお、Uちゃんのハマっているものは、いつでもすぐに出てくるねぇ。
U : そうかな。 ま、いちばん好きな具材はその時々で変わるけど、やっぱりこの組み合わせは最強。
K : 松山あげって、前どこかに行ったときのお土産でくれた、常温保存できる軽~いお揚げだよね?
U : そうそう。 最近は関東地方でも少し大きめのスーパーとかデパ地下でも置いてあるから助かる~
K : 確かに、このところ日本各地の名産品とか食材とかを扱うお店が沢山あって面白いよね。
U : いや、ほんとそうなの。 お出汁用の食材とか味噌とかも、現地に行かなくても各地の良いものを入手できるってすごいことだよね。
K : ほんとだねぇ。 じゃあ、いまUちゃんがいちばん好きなお味噌汁のことちょっと教えて~
Kちゃんは、なぜかいつでもUちゃんのハマっている食べものを知りたがり、
そのつくり方を尋ねるのも、すっかりクセになってしまったようだ。
U : まず、やっぱりお味噌汁の味の決め手はお出汁。 松山あげの場合はいりこだしかな。
K : いりこか・・・ ねぇ、他のお出汁でもいいの?
U : いいよ。 お出汁も味噌も、普段使ってるのでもなんでも好きなやつでいいよ。
K : わぁ、いつもみたいに好きなやつ使っていいならよかった。 突然いりこのお出汁指定出たから、味噌汁を知る旅でこだわりが強くなってるかと思ったけど、そうでもないんだね。
U : あははは。 全然そんなことはないよ。 自炊は自分が美味しいと思えばそれでいいんだから。 でも、お味噌汁ってほんと日本各地でそれぞれの味わいで、その土地で昔から愛用されているお出汁と味噌でその土地の具材をいただくのがやっぱり美味しいっていう気はしたよ。
K : ふ~ん。 そういうものかぁ。
U : 旅の楽しい思い出と結びついて、より美味しかった記憶になってるっていうのもあるかもしれないけど。
K : そういうこともあるよね、きっと。
U : で、わたしのいまハマってるお味噌汁の作り方は、具材をほぼ加熱しないのがポイントなの。
K : 具材を加熱しない? そんなことあるの!?
U : あるよ。 お椀に直接生の具材を入れておいて、味噌を溶いたお出汁を注ぐスタイルで完成させるよ。
K : ほぅ。 なんか、火の通り具合とか考えなくていいと失敗が少なそうだね。
U : うん。 味噌を溶く量の好みさえ決まれば、全く失敗はないよ。
K : いいねぇ。
U : まず、具材の青ネギは薬味というよりしっかり食べる感じが好みだから、お椀三分の一くらいたっぷり入れて、その上に松山あげを山盛りに乗せる。
K : 山盛りに!? お椀から溢れちゃうんじゃないの?
U : 大丈夫大丈夫。 スープを注ぐとお揚げがとろ~んとして嵩が減るから、心配しないでどっさり入れてね。
K : わかった。 信じる。
U : そしたら、そのお椀に好みの味噌を溶いたお出汁を注いでササっとかき混ぜた後、シャキシャキ食感を楽しめる程度に細切りにした生姜を添える。
K : なんか美味しそう。 とろ~んシャキシャキ。 お揚げと味噌とネギと生姜の香り。
U : そう。 松山あげが美味しいお出汁を吸ってとろ~んシャキシャキじゅわわわ~の味わい。 あ、七味かけても美味しいよ。
K : そうだ!いま思い出したけど前にお土産でもらった松山あげってそんな食感だった。 とろ~んじゅわわわ~に、シャキッとピリリ。 いいねぇ。
U : 美味しいから、いつかつくってみてね。
K : うん、やってみるよ。 ところでUちゃん、これからはオーミソスープショップの人になるから、このタイミングで電話できなくなるね・・・
U : そうだねぇ。 でも、いつでもオー!ミソスープショップに遊びに来てよ。 近くにおにぎり屋さんもあるみたいだし、美味し楽しいと思うよ。
K : そうだね、それがいいね。 これまでご馳走さまでした~
U : あははは、お粗末さまでした。 ばいば~い!
のんびり穏やかな休日の昼下がり。
新しい具材の組み合わせも思いついたことだし、今日はいい日だなぁ・・・
そうだ!この勢いで大好きならっきょうの塩漬けを仕込んじゃお~
なんてつぶやきつつ、早速ふんふん鼻歌まじりで泥付きらっきょうを洗い始めるUちゃん。
しばらく連絡が取れない間に、いつの間にかお味噌汁屋さんへ転身することになっていたものの、
自分の食べたいものをつくることに余念がない姿は相変わらずのUちゃん。
きっとこれからも変わらずマイペースに自炊料理も楽しんでいくのでしょう。
とある休日の昼下がり
MALKスタッフUちゃんとKちゃんにより密かに行われているクラブ活動
それが、イマジネーション料理部
これまで、一般自炊料理人Uちゃんのつくるお料理を
Kちゃんと一緒にイマジネーションしてくださった皆さま
本当にありがとうございました
この新感覚のお料理コーナーは、今回をもちまして終了となりますが
UちゃんとKちゃんはこれからも適度なユルさで自炊を楽しみつつ暮らしていくことと思います
皆さんもぜひ素敵な自炊ライフをお過ごしくださいね
※ この物語は、事実を織りまぜたフィクションです