イマジネーション料理部#27
EPISODE 27
「ねぇ、いまハマってるものある?」から始まるクラブ活動
ー 海のうまみがあるならば、何もかもほとんど自由だよ ー
ジリリリリリーン ジリリリリリーン ジリリリリリーン
のどかな休日の昼下がり。
MALKスタッフUちゃんの大好きな、穏やかでのんびりとしたひととき。
どこからか、昔懐かしい黒電話の音が聞こえてきます。
ジリリリリリーン ジリリリリリーン ジリリリリリーン
手にしていた小さな貝殻やサンゴのかけらを棚に戻し、スマホを手に取るUちゃん。
ジリリリリリーン ジリリリリリーン ジリリリリ・・
U : はい。
電話の主はお馴染み、MALKの同僚Kちゃんだ。
K : あ、もしもし、Uちゃん? いま何してるの?
U : とくに何もしてないよ。 貝殻っておもしろいなぁと思って、ちょっと観察してたところ。
K : カイガラ? 海にいる貝の殻のこと?
U : そう。 浜辺に行ったとき拾ってきたやつ。
K : 確かにそういうのときどき観察したくなるかも。 いろんなカタチがあって集めるのもちょっと愉しいし。
U : 海は広い範囲で繋がってるのに、浜辺ごとに拾える種類が違うっていうのも、なんか不思議おもしろいよね。
K : 久しぶりに浜辺を歩きたくなってきたなぁ・・・ ねぇ、ところでUちゃん、いまハマってるものある?
そう、相変わらずKちゃんの話は急展開。
でも、もちろんUちゃんは即答する。
このタイミングで聞かれる「ハマってるもの」は、自炊料理のことに決まっているのだ。
U : あるよ。 アサリの酒蒸し。
K : お~、いいね。 Uちゃん、いまはとにかく貝にハマってるんだね!
U : あら、ほんとだ。 アサリも貝だったね。
K : え? 貝殻の観察とアサリは無関係だったんだ!?
U : ふむ。 アサリの模様って全部違くて面白いなぁとは思ってたけど、拾ってきた貝殻とは全く違う感覚で触れ合ってた。
K : なんか、そこ繋がってなかったの意外。
U : アサリは、ずっしりしてるとか、新鮮そうとか、食材として観察する意識が強すぎたのかも。
K : あらま、そんな食べ物目線中心になっちゃうくらいアサリの味に魅せられてるんだね。 その酒蒸しについてちょっと教えて~
Kちゃんは、なぜかいつでも同僚Uちゃんの自炊料理に興味津々。
つくり方を尋ねるのも、すっかりクセになってしまったようだ。
U : アサリの酒蒸しは、何もかもほとんど自由だよ。
K : 何もかも!? それはすごいね。
U : ちゃんと砂抜きした新鮮なあさりを使ったら、どんな風にしても間違いなく美味しくなる。
K : 心強いね。
U : 酒蒸しの「酒」の種類も自由。 日本酒でつくれば和風になって、白ワインでつくれば洋風になる。
K : ふむ。
U : しかも、アサリから海のうまみが自然に出てくるから、酒以外の味付け不要。
K : 味付けなし!
U : そのうまみを吸った野菜がすごく美味しいから、最近は玉ねぎを入れてるんだ~
K : そしたら、材料はアサリと酒と玉ねぎだけ?
U : あと、最後にフレッシュハーブを和えると香りも良くなるから、お酒の種類に合わせて大葉とかパセリとかがあったら最高。
K : アサリと酒と玉ねぎと香りづけのハーブね。
U : そう。 あとは蓋付きのフライパンかお鍋。
K : そっか、蒸すんだもんね。
U : まず、フライパンに薄切りにした玉ねぎと砂抜きしたアサリを並べて、好きなだけ酒を入れて蓋をして点火。
K : 最初から全部入れちゃうんだ。
U : 玉ねぎとか酒は途中で加えてもいいけど、その辺もテキトーで大丈夫。
K : タイミングもテキトーなのか。
U : あとはぶくぶく沸騰して貝がパカっと開いたら完成だから、それまで水分がなくならないように見守るだけだよ。
K : 水分がなくなったらどうするの?
U : 焦げると美味しくないから、水でも足したらいいよ。
K : これまたテキトーだね。
U : 水足しすぎてちょっとシャバシャバになっちゃったら、スープとして食べれば美味しいから。
K : へぇ。 貝が開いたら、ハーブ投入?
U : そう。 さっとまぶして完成。 ご飯にもパンにも合うよ。 あ、もちろんパスタにしてもいい。
K : ああ、簡単。 今日の夜ご飯はそれにしよ~っと。 ありがと~
U : うん。 またね~
のんびり穏やかな休日の昼下がり。
棚に並んだ貝殻をあらためて手に取り、シルエットと手触りを確かめつつ、それぞれ拾った場所に思いを馳せるUちゃん。
そういえば、確かこの面白いカタチの貝殻を拾った日は台風の翌日で、
小柄なAちゃんひとりだけがなぜか風に飛ばされそうになっちゃってておかしかったなぁ・・・
なんて、すっかり懐かしい思い出にすっかり浸っている様子。
もうしばらく続きそうな雨の季節、
ときにはそんな(どうでもいい)ささやかな思い出に目を向けて、のんびりおうち時間を過ごしてみるのも、ちょっと愉快なひとときです。
とある休日の昼下がり
MALKスタッフUちゃんとKちゃんにより密かに行われているクラブ活動
それが、イマジネーション料理部
つくるひとは、料理研究家でも(もちろんプロの料理人でも)ないMALKスタッフ
一般自炊料理人、Uちゃんのつくるお料理を
Kちゃんと一緒にイマジネーションして楽しんでみませんか?
この新感覚のお料理コーナーは、またいつか更新される予定です
次回もどうぞお楽しみに
※ この物語は、事実を織りまぜたフィクションです